電車で見つけた無防備女子をS〇X中毒にしちゃいます。

いい

抵抗している所が良い。
ただほとんど抵抗していない。
しかし、他の作品はすぐに堕ちるがこの作品は普通だった。もっと嫌がってほしかった。

初挑戦でこの完成度はすごい。次回作が楽しみ

まず、画力の高さに反して成年漫画初挑戦という経歴に興味を持った。
処女作のレビューという責任を感じながら、誠意を込めて感想を書きたい。
－
物語の冒頭、部活動帰りのヒロインが普段と違う電車に乗るという所が、不穏な展開の予感がして良かった。
また、ラッシュ時の混雑や男達の汗の匂いに不快感を示す彼女の様子から、潔癖気味な性格と穢れを知らない清楚な印象が伝わり、後にふり掛かる災いへのフリとして効果的と思った。

一方で、学校帰りにもかかわらず手ぶらである事や、過去に被害経験があるにもかかわらず短いスカートを履いている点には強い違和感を覚えた。

電車内の描写では、エロティシズムを追求するあまり男の行為が過激になり過ぎて、現実味を欠いてしまった感がある。
周囲の乗客も気づいているのに誰も止めず、撮影する人物まで登場する展開には、フィクションとしても強い違和感が残った。
結果、電車という密室空間ならではのスリルとバレてはいけないという緊張感が十分に活かされず、ジャンルとしての深みが損なわれたように感じた。

その後、ホテルという自由度の高い舞台に移った事で物語の興味が一気に薄れた。
ホテルは“行為をするための場所”として成立してしまう為、彼女がそこへ足を運ぶ事で、ある種の合意があったようにも見えてしまい、電車内での行為が本当に望まないものだったのかが曖昧になった感がある。
舞台を移すのであれば、電車物の定番である駅トイレが良かった。彼女の大切なものを喪失する場といて相応しくない程、背徳感＝エロスがより伝わったかと思う。

また、作品全体にナレーションによる説明が多く、冒頭のモノローグは雰囲気作りに効果的だったが、以降は冗長に感じた。
そして、終始“男”のカメラ視点で描かれているため、読者が男に成り代わって物語を追体験しているような感覚が生まれるが、全体としての俯瞰的な視点が失われた為かどこか違和感が残った。
これまでにない作品を生み出そうとする意欲は十分伝わってきたが、空回りしている印象も否めない。
－
最後に。
電車物を扱うならあとがきに「本作はフィクションであり、現実の行為を肯定・助長するものではない」といった注意書きが必要と感じた。
表現の自由や電車物というジャンルを守るため、他の作家や読者に迷惑を掛けないためにも、こうした配慮が絶対必要。